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作品が出来るまで

1 粘土づくり  2 作り   3 素焼き・くすりがけ(施釉)   4 焼成




2 作り

荒練り

 特に決まった練り方はなく、とにかくよく練って全体の硬さを均一にします。

巻き練

 粘土をすこしづつ折りかえしながら回転していくように練ります。このとき粘土中の空気が抜けてゆき、粘土同士がよく締まってゆきます。空気が抜けるということはつまり隙間が無くなっていくということで、それだけ粘土が一つのものとしてまとまり、結合していくわけです。

その形が菊の花びらに似ていることから「菊練り」と呼ばれるのが普通ですが、わたしは「巻き練り」という呼称を使っています。ぐるぐると回転しながら器を作るちからを巻き込んでゆく運動は、いにしへの勾玉に込められた想いにも似て、いのちを生み出していく元となっていると思います。宇宙も星星も、この円運動のうづまき(渦巻き)から始まっているのですから。

充分に巻き込んでちからを溜めたら、その締まりをくずさぬように巻き取りつつまとめてゆき、卵のような塊になります。


成形

@轆轤(ろくろ)

まず水引きといって形を作ります。
 わたしが習ったものも含め日本の轆轤は時計回りが大半ですが、西洋では逆時計回りが主なようです。時計回りでは右手を器の中に入れ、逆時計回りでは左手を中に入れます。このため、日本式の時計回りでは左手の使い方がかなめになりますが、わたしの先生は左手こそこういう繊細な作りが出来る、と言っていました。もちろん、それぞれの流派にそれぞれの秘伝があるように、逆時計回りには逆時計回りの良さと秘訣があるのだと思います。




 回転する方向がどちらであれ、水引きで肝要なのは土をしっかりと締めることです。力でぎゅっとするのではなく、手のひら全体でつつむように、粘土を均等にします。こうしてよく締まった土はブレることがなく、かなり薄くしても形くずれすることがありません。陶器は重いという印象がありますが、よく締め薄く作った器は軽く出来ます。湯呑やお茶碗など、手に持って使う器は必要以上に重くしないように心がけています。




少し乾かしてから、高台(糸尻)の部分を削ります。 これも回りかたは二通りありますが、わたしのやり方は削りでも時計回りで削ります。ひっくり返すのですから水引きのときとは反対回りのほうがいいのではないか、とも思わぬでもないですが、いままでのところ不都合や出来の悪さは感じていません。





仕上げ

 模様を彫ったり取っ手をつける場合はここでします。





私は模様を入れるのが好きです。模様の織り成すかたちが持つパワーのようなものがあると思うのです。かつて数千年も前のこのやまぐにの先祖たちが、土器や服にさまざまな模様を与えていたのは、自然界からのちからを「かたち」にすることで身にまとい、また食物をとおしてからだに取り込んでいたのでしょう。縄文土器の模様は、大切な食物をいれてある器の口から、悪いものが這入ることで腐らせたり病気を生み出したりしないようにという、つくり手の願いをかなえるものでした。また衣類の袖口、襟元にした刺繍やアップリケも、同じように病いが入りこまないようにとほどこしました。これは日本の縄文人だけでなく世界中の民族の智慧として、ながくいとなまれています。
 私が描く模様は、流れや渦を巻くようなものが多数を占めます。やまを流れて木や草やいきものたちとふれあっている風や水が、姿を変えて人々のもとへちからを与えて、自然との交流を忘れないようにと願っています。たまったり、よどんだりすることは病いのもととなりやすく、すべてのものは動き・変化する流動のなかで、新しい時へむかってちからを得ていくのですから。

 これで形が完成しました。乾燥させます。乾燥はまず室内で戸を閉め切って干し、やがて戸を開けはなって風にあてて干します。乾燥する過程で粘土は縮んでゆきますので、すこしづつ干してゆかなければ部分部分で縮み方が偏り、歪んでしまったり割れてしまったりしてしまいます。

 また、乾ききっていずに水分が残っていると、焼く時に温度で膨張した水が粘土を割って砕いてしまいます。時間をかけて、粘土の芯まで乾くように心がけます。





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